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賭博

M君に話を聞いた後もテンションは上がり続け、次第に体験した事も無い様な期待感に包まれる。

遠い昔小学校で遠足に行く前日の雰囲気にも似た、ワクワクする期待感が常に私の胸に付きまとった。

そしてついに禁断の裏ギャンブルの扉を開いてしまう。

M君の友人の部下と一緒に夜のネオン街、裏ギャンブルの世界へ向けてヒタヒタと歩き出す。

部下も初めての世界…それはもぅ緊張してカチコチだったのを今でもハッキリと覚えている。

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店の名前は『パラダイス』入り口には堂々とカジノバーの看板が掲げられトランプの絵がデザインされた印象的な店だった。

そして一呼吸して扉を開け入店。そこは想像を遥かに超えた世界だった。

先ず、真っ赤に敷かれたフカフカの絨毯に驚き、照明は豪華なシャンデリアその光景は映画で見る

カジノ以上の迫力だった。入店すると、凄まじくスリットの入った目のやり場に困る様な

チャイナ服を着た美形の女の子が『いらしゃいませ~♪』と気軽に声をかけてくれて、オシボリを持って来てくれた。

飲み物を注文し再度店内を見渡すと、まるで異次元…

テーブルには飲み物・寿司・フルーツの盛り合わせが用意され・タバコも全て無料、

そこに無いものは注文すれば全て出前まで取ってくれる親切さ。しかもその全てが無料と言う事に驚いた。

しかし、店内に居る者の殆どが、それに目もくれずテーブルで繰り広げられるバカラ賭博に熱中していた。

席に着く客達は、言葉を発しないものの独特の緊張感が見ていてる側にも、ヒシヒシと伝わって来る。

暫くすると空席が出来ましたと女の子に伝えられ、言われるがままバカラ賭博のテーブルへ案内された。

テーブルに着き現金を渡し少し重みの有るチップに換えた後、ディーラが手さばきよくトランプのシャッフルを始める。

ディーラーの手の中で動くトランプは正に生き物、その手さばきに圧倒され魅了された。そして勝負開始!!

ディーラが挨拶を行い、いよいよ違法の賭博行為が始まる。座ったテーブルは千円~一万円まで賭ける事が出来る。

少し重みの有るチップを慣れない手つきで手の中で転がし…先ずは様子みとバカリに千円ずつかけて行った。

今まで味わった事の無い緊張感。ただただ喉が渇いたのを今でもハッキリと覚えて居る。

勝負開始からビギナーズラックも手伝って面白いように当たりまくる。次第にチップが増えて行くが、

部下のチップが無くなった為、その日の勝負は終了にした。

その後は初めての換金、店内には『換金出来ません』などの文言が貼られていたが、換金出来る事はM君に聞いて知っていた。

しかし、それらしい場所が見当たらないのでディーラーに聞いて見ると、物凄く小さな声で『厨房』って答えが返ってきた。

『ハァ厨房?』ちょと疑心になりながらも厨房へ行くと…そこには、明らかに厨房に不似合いなヤヴァ系の人が独り立っていた。

恐る恐るチップを手渡すと、おびただしい程の現金が入ったバックを取り出しチップを現金に換えてくれる。

そして店を出て『お・おもしろい・面白すぎる~』と何度も叫んでいた。

その日は家に帰ってからも興奮して眠れず、目を閉じればトランプが思い浮かび目から離れなかった。

その日から連日、バカラ賭博の世界へ足を運ぶようになる。最初の内は詳しいルール等も判らない為、

一番安いテーブルでお茶を濁していたが、次第にルールや条件なども覚え、順調に勝って居た事も手伝って

次第にレートの高いテーブルへ足を運び出す様になる。

連日、同じ店に通っていた為、店内でも数人顔見知りが出来、勝負が終わった後には、

豪勢に寿司・焼肉などを食べて呑んでと大騒ぎし。夜の街へ繰り出し散財しまくっていた。

またしても『呑・打・買』の始まり。家で待ってる嫁の事などスッカリ忘れ、数日に渡って家に帰らない日々が続く。

しかし2分の1のギャンブル!いつまでも、そんな夢の様な生活が続くわけも無く次第に負けが増え始める。

しかし一度は借金地獄を味わった身で有るので、そぅ簡単に借金などと安易な考えには成らなかった。

『博打を打つ金が無くなったら全てオシマイ!!』

そぅ心に強く思ってからは次第に勝つ為にどうすれば良いのか?考える様になる。

そしてついに必勝法なるものを考え出した!!


【続く】

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